5月12日に行われた兵庫県介護老人保健施設大会にて、「意味性認知症の特徴を活かした関わり方の検討~居心地の良い空間づくりを目指して~」と題して、当施設の通所リハビリテーションを利用している方との関わりについて発表させていただきました。
「意味性認知症」とは、難病に指定されている「前頭側頭葉変性症」が原因で、言語障がいが生じる認知症のことです。言葉の意味理解が困難になる一方、手続き記憶、視空間性の問題解決能力や数字を扱う能力は保たれ、特徴として、同じ方法で決めた順序に執着する「常同行動」があります。
スタッフが話しかけても、言葉の意味が理解できず、コミュニケーションが難しい方でしたが、意味性認知症の特徴を捉え、また、ご本人が過ごしやすい環境を整備できるよう職員間で検討し、情報共有を行うことで、ジェスチャーなどを交えながら徐々にコミュニケーションができるようになり、笑顔で参加できる活動を提供することができるようになりました。
認知症ケアの1つに「パーソン・センタード・ケア」があり、その人らしさを維持することを目指すケア方法です。この方法では、認知症であるご本人ができるだけよい状態でいられるように満たしておきたい5つの心理的ニーズが提唱されています。その5つのニーズとは「くつろぎ・自分らしさ・結びつき・たずさわること・共にあること」で、私たちスタッフは、毎日これらを意識して利用者さまと接するよう心がけています。
人により認知症の症状も様々で、そのケアも多種多様ですが、その人らしく過ごしていただけるように、今後もスタッフ一同、取り組んでいきたいと考えております。
作業療法士 宮本幸子
2023.06.26